「ライジングインパクト」をレビュー・紹介





ライジングインパクト

あらすじ

容姿端麗で実力も兼ね備えた人気女子プロゴルファー西野霧亜は、道に迷っていた。
福島旅行の宿泊先へ向かっていたのだが、その通り道の橋が壊れてしまっていたのだ。
どうしたものか、とたたずんでいた所、ハーフとおぼしき金髪の少年が道案内役を買って出てきてくれた。

その少年はガウェインという名前で、夢は「世界一の飛ばし屋になること」だと言う。
それすなはち、プロ野球選手になってホームランで球を『かっ飛ばし』まくることらしい。
そんな彼に霧亜は練習用に持ってきていたゴルフクラブでボールを『ぶっ飛ばし』てみせる。
それこそ、野球の比ではないくらいに……。
ゴルフこそが一番遠くまで球を飛ばせるスポーツだと知ったガウェインは、ゴルフを教えて欲しいと彼女に乞う。



冷静に考えると、右と左が同一人物って…
(C) 鈴木 央/集英社
作家名:鈴木央
掲載誌名:週刊少年ジャンプ(集英社)
ジャンル:スポーツ ギャグ 成長 心理描写 「少年マンガ」
巻数:通常版17巻、文庫版10巻(完結)
各賞:なし
補足:特になし



魅力(+余談)


鈴木央さんと言えば「金剛番長」や「ULTRA RED」と言う人が多いように思います。

金剛番長は今もっとも熱い漫画の一つだし、ウル赤は「バイバイジャンプ」で結構な話題になりましたよね。

しかし、私はこのライジングインパクトが一番好きです。

確か9歳か10歳の頃サンタさんに頼んだのは、ライパクのまだ持っていない巻〜最新巻でしたし、

私がゴルフをするようになったのもほとんどこの漫画の影響です。(といっても月一で打ちっぱなしに行く程度ですが)

間違いなくライパクは小学生の頃に一番ハマった漫画のうちの一つでしょう。

そういう漫画は年をとってから読み返しても、相変わらず面白いんです。

この記事を書く前にサラッと読み返してみましたが、確かにそうでした。


この漫画が一番盛り上がるのは、キャメロット杯という大会のシーンでしょう。

その盛り上がりが、もうとにかく半端無い。

「うおおぉぉ」って感じで、飯だろうと深夜だろうとページをめくる手が止まらないです。

こんなことは面白いスポーツ漫画にはつき物なんですが、ゴルフというスポーツでここまで引き込むことはそうそう出来るものじゃないと思います。

例えばスラムダンクの山王戦のときも似たような興奮を覚えますが、あれはバスケという動きまくりのスポーツですよね。

それに対してゴルフというのは、一緒にラウンドする人が一人一人順番にボールを打ち、そして自分のボールの元まで歩いてやっと次の球が打てるというスポーツ。

漫画なのでそれを全て描かずにカットしたりは当然するのですが、それでもやはり間延びした感はぬぐい切れません。

それでもあそこまで引き込まれるのは、ボールを打つキャラとそれを取り巻く一人一人の別のキャラたちの心情が丁寧に描かれているからではないでしょうか。


ゴルフというのはメンタルなスポーツです。

私はこれでも割と色々なスポーツをやってきましたが、その中で一番気持ちで結果が左右されてしまって難しかったのは、間違いなくゴルフです。

一度でも少しリズムが狂うと、普通の人はガタガタと転がり落ちてしまいます。

なぜなら挽回しようとしてリキむと途端に悪い方向へ転がってしまうのがゴルフだからです。

鈴木先生は、そのゴルフのメンタルトラップを本当に上手く描いています。

ゴルフを題材にした全ての作品が乗り越えなければならないその壁を、素人でも分かる分かりやすさをも備えて危なげなく乗り越えているんです。

ゴルフって興味あるんだけど、なんか簡単に学べる良い方法がないかなぁ…、と悩んでる方に是非お勧めしたいです。

少年漫画のわりに技術的な面にも触れている漫画ですし「ゴルフをするときってこういうことを考えるものなんだぁ」というのがよく分かるでしょう。


――と、ここまでキャラの心情描写の秀逸さばかり取り上げていましたが、例のキャメロット杯の盛り上がりの要因はこれだけじゃありません。

むしろ今から言う理由の方が大事かもしれません。

「少年漫画ならではの派手さ」、がそのもう一つの要因です。

小学四年生が400ヤードを平気で越すなんていうありえないことが平気で続々起きるライパクですが、このありえなさがたまらないんです。

ゴルフといえばおっさんのスポーツというイメージが先行するように、ゴルフ漫画というものは普通は青年誌に載っていますよね。

だからこそ、この「ありえなさ」が際立つんです。


ゴルフ漫画として絶対外れちゃいけない部分を押さえつつ、外れるところは少年漫画という強みを生かしてド派手に行く。

ライパクの面白さはこのアンバランスさにあると思います。

心理戦と熱い展開という相反するような要素を同時に取り入れた漫画を読んでみたい人は是非読んでみてください。

文庫化してるんで安く手に入ります。







ここから下には私が好きなシーンについて書きます。

まだ読んでない方は、トップに戻った方がいいです。

既読の方で、「あぁ、そのシーンいいよな!俺も好きだぜ!」って気分になりたい人は…

ここを押したら下まで飛びます。

趣味が合うかは保障できませんが。。









































































好きなシーン
(+余談)


何年後、このキャラとこのキャラが結婚して、あのキャラは昔とぜんぜん違うことをしているよ――

って感じで終わってしまう漫画はどうしても唐突な感じがして、拒否反応が出るという人がいると思います。

私なんかは拒否反応とはいかないまでも、「なんだかなぁ」とは思ってしまいます。

そういう意味では確かにライパクも「おいおい急だな」とは思わされました。

それでも、あのラストは大好きなんですよね。

不自然じゃない程度で全てのキャラが幸せになっていて、なんとも後味が良いんです。

グラールとの試合は見たかったけれど、打ち切りの中でも気持ちよく締めてくれました。

鈴木先生、最高です。